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藤色の大河 

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離婚で私は藤の花を取り戻した。私の曽祖母の姓は佐藤だから。その藤の苗を持ってタイムマシーンに乗る。時空の皺のどこかにある斬新な国で、私はミュンヘンの植物園で見た緑の蔦の門を見つける。そこに私の藤をつたわせる。緑の門は毎年五月になると藤色の門になる。私はそっと皆に内緒で魔法をかける。その紫の門をくぐり抜けると恋心が真実の愛に変わり、その人の心を藤色にする。だって、裁判中、ずっと神にお願いしていたから。『神様、どうして愛を透明にしたのですか、色があってはっきりと目に見えたら、生きるのがどんなに楽かって』裁判に負けた代わりに魔法が使えるようになった。もう誰も傷つかないように。その斬新な国では、毎年五月になると皆、その藤の門をくぐり一列に連なる。一本の藤色の大河が現れる。私とあなたはそのほとりに腰掛け、ゆっくりと爪先を浸す。その藤色はゆっくりと私たちの深層心理に到達する。藤色に染められた深層心理は真実の愛がどんなものかやんわりと感じさせてくれる。私たちはただ藤色の心の温度を感じるだけ。

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